築約60年の古民家を改装し、昨年12月にオープンした。白いコンクリート瓦の屋根が印象的な店で、コーヒーのイメージが一変する一杯に出合える。
例えば、ローズマリーと一緒に一晩抽出した水出しコーヒー(550円)。店主の嘉数慶太さん(44)がコーヒーの世界に目覚めたきっかけは30代前半に飲んだ水出しだったといい、その原点を大切にしながらアレンジした。
「メニューを見たお客さんから『食べ物はないの?』と聞かれるんですが、本当にコーヒーしかないんです」と嘉数さんはちょっと申し訳なさそうに話す。その代わり、道向かいにある老舗洋菓子店「ボヌール」の商品は持ち込みOKだ。
「どちらかというと、これはコーヒーから逃げてる気もするけど」と笑うのは9月までの期間限定ドリンク「桃のミルクアイス エスプレッソ ソーダ」(700円)。自家製の桃ジャムにエスプレッソとソーダを合わせ、アイスクリームを浮かせる。少しずつ混ぜて飲むとコーヒーの苦みが七変化。ストローの向きを変えると、桃の果肉のトロトロ感やソーダのシュワシュワ感が際立つ。
定番のシングルコーヒー(500円)はアラビカ種の豆を4~5種類そろえる。焙煎(ばいせん)したら「エイジング」と呼ばれる熟成期間を1~3日置き、その後は酸化しないよう1週間以内に使い切る。焙煎豆は100グラム千円で販売している。
「手登根珈琲」という店名は、大好きな祖父母が暮らしていた南城市佐敷手登根から取った。
「お年寄りでも入りやすい店にしたくて、レトロで和風な優しい感じにしました。『誰かと誰かの会話のお供』にコーヒーを楽しんでもらえたらいいですね」(南部報道部・平島夏実)
=金曜日掲載
【お店データ】営業時間は午前8時~午後4時。日曜定休。駐車場はコインパーキング。問い合わせはインスタグラムへ。

