宜野湾署は15日、18歳の少年を、医薬品医療機器法違反などの疑いで逮捕したと発表した。
吸い始めると意識が飛んで体が浮いた心地になる。しばらくすると手足がガクガクと震える。言葉がうまく発せず、情緒も不安定になる。傷害事件や交通事故を引き起こしたケースも報告されている。電子たばこを使って吸引することから、海外では「ゾンビたばこ」と呼ばれ、乱用が社会問題となっている。
厚生労働省は5月、危険ドラッグのエトミデートを中枢神経系へ作用し保健衛生上の危害が発生する恐れがある指定薬物に指定した。製品の所持や使用、輸入、販売などが禁止された。
県内では、この「笑気麻酔」がナイトクラブやキャバクラなどで使用されていた。取引は、知人間のほか秘匿性の高い通信アプリなどを介して行われるため、供給先の特定が困難とされる。
危険ドラッグは、使用をやめられなくなり、死に至るケースもある。ファッション感覚や興味本位で手を出し取り返しのつかない結果を招きかねない。
■ ■
県警が、「笑気麻酔」の乱用とみられる状況を確認したのは今年2月ごろ。以降、事件事故の現場で、若者らが奇声を発したり、激しくけいれんしたり、四つんばいとなるような異様な光景が現認されたという。
所持品などを鑑定し、国内未承認の医薬品成分、エトミデートを検出。県や厚生労働省沖縄麻薬取締支所に働きかけ、厚労省が異例のスピードで規制した経緯がある。
香港や台湾、タイなどでここ数年乱用が社会問題となっている。捜査関係者によると、沖縄での広がりの背景には、まん延する国々との地理的近さに加えて、暴力団員の関与もうかがえるという。
関係機関では、取り締まりを強化するほか、「大変危険な薬物」として、「買わない、使わない、関わらない」よう呼びかけているが、若者への啓発活動は十分とは言い難い。
■ ■
若者への覚醒剤や麻薬といった違法薬物、危険ドラッグのまん延が深刻化している。
違法薬物事件で県警が昨年、逮捕、書類送検した容疑者のうち、10代は59人で、2024年までの過去5年間で最多となっている。10~20代の摘発は全体225人の約7割を占める。
危険ドラッグは、「ゲートウエードラッグ」とも呼ばれ、安易な使用は、さらに強い刺激を求め覚醒剤などの使用につながる。
学校や家庭、関係機関の防止対策は、機能しているか。この機会に再点検するべきである。