沖縄尚学の優勝で幕を閉じた第107回全国高校野球選手権大会。決勝戦でテレビの解説を務めた高校日本代表監督で、日大三(西東京)を率いて2度の全国制覇を果たした小倉全由さん(68)はこの試合をどう見たのか。
試合後、話を聞いた。
 小倉さんが沖尚の勝因に挙げたのが、先発した新垣有絃投手だ。初回に先制を許すも、四回の一死満塁のピンチを無失点でしのぎ、五、六、七回はいずれも三者凡退に抑えた。小倉さんは「変化球も直球もコースにしっかりと投げ分け、日大三の打線にスイングをさせていなかった」と称賛した。
 打線については「先制を許した直後の二回に追いついたのが大きかった」と分析。 3得点はいずれも二死からの適時打で挙げたことに触れ、「甘い球を逃さずしっかり振っていた。打った打者が素晴らしかった」と話した。
 今大会の沖尚の戦いを振り返り、「比嘉(公也)監督は当たっていない選手の打順を変えるなど悩んでいたと思う」と話す。「不調の選手にエンドランをかけて積極的にバットを振らせていた。それに選手もしっかりと応えていた」とたたえた。
 決勝戦を振り返り、小倉さんは「沖尚も日大三も決して前評判が高いチームではなかった。その両チームが決勝で素晴らしい野球をしてくれた。
前評判が高いチームが勝ち残るとは限らないのが高校野球の面白さ」と話した。
 沖尚のエース末吉良丞投手は小倉さんが率いるU18(18歳以下)日本代表に選出され、9月に沖縄県で開催される野球のU18ワールドカップに挑む。小倉さんは「彼の素晴らしさは制球力。特に打者の内角に投げ込む直球は素晴らしい」と評し、「ぜひチームに力を貸してほしい。持っている力を最大限発揮してもらえたら」とエールを送った。(社会部・滝口信之)
沖縄尚学Vの勝因は新垣有絃投手 名将・小倉全由さんが見た強さ...の画像はこちら >>
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