店は1986年、サンドイッチなどの軽食が中心の喫茶店として同市泊で始まった。当時、周辺に予備校や専門学校があり学生が多かったことから「学生街の喫茶店」を歌う音楽グループ「ガロ」から名付けた。
18年前、店舗オーナーの都合で首里大名町に移転。客層が変わり営業スタイルを喫茶店から食堂へ切り替えた。最初は人通りも少なく戸惑ったが、泊からの常連客が訪れ営業を支えた。学生だった客が親になり子どもと食べに来たり、「孫のために」と持ち帰りを注文したりする人もいた。
看板メニューの一つ「チキンとポテトの重ね焼き」は、幅広い年代から人気だった。生卵がのったナポリタンを鉄板ごと提供するスタイルは、喫茶店時代から変わらず愛された。
閉店を決めたのは「元気なうちに悔いなく終えて、自分の好きなことをして過ごしてもいいかな」と思ったから。これまでの感謝を伝えようと「39年間 感謝です ガロ」と書かれたボールペンを客にプレゼントした。順子さんは「『おいしい』の一言がうれしくてここまで続けてこられた。
8年ほど前から店に通っている大阪府出身の森川玲さん(31)は「実家の味」との別れを惜しんだ。大学進学を機に沖縄に来て、初めてガロの料理を食べた時、「大阪の祖父母が作ってくれた味にそっくり」と感激した。「社会人1、2年目の頃は疲れた時によく食べに来た」と懐かしそうに振り返り、「もうこの味が食べられなくなると思うとさみしい」と名残を惜しんだ。
