1952年、西原さんの父千八さん(享年94)と母秋さん(同92)が那覇市首里儀保町で創業。道路の拡張工事に伴い、88年に浦添市前田へ本店を移した。
幼い頃から店を手伝っていた西原さんは、銀行勤めを経て55歳で店を引き継いだ。「清次郎じゃないといかん」。千八さんにそう説得されて覚悟を決めたといい、銀行員時代に培った知見を店の経営に生かしてきた。
大切にしてきたことは「おいしいお餅を届けること」。普段は2店舗合わせて1日に1500~2千個、旧盆の時期には3万個以上の餅を売り上げる。両親から引き継いだ「昔ながらの味」を守るため、餅の種類やその日の気温に合わせて、何種類もある製造法の中から最適なものを選び丁寧に作り上げている。
「餅屋の実力が分かる」といわれる白餅は、ファンがいるほどの逸品。ヨモギが練り込まれた生地で優しい甘さのあんこを包んだヨモギ餅も人気だ。
沖縄の伝統行事のサポート役になろうと、客からの要望に応え、重箱の注文を受け付け、法事菓子やウチカビなども販売してきた。
接客を担当する淳子さんは「お客さまから長い間お疲れさまと言葉をかけてもらった。うれしい半面、休業が心苦しい」と語る。西原さんは長年連れ添った妻を「言葉にしなくても、あうんの呼吸で助け合ってきた」とねぎらい、「再開にむけて人材確保に努めたい」と前を向いた。
31日まで毎日営業する。開店時間は本店が午前6時~午後6時。儀保店は午前7時半~午後4時半。全部で6種類の餅は110円から。
