インド。近くて遠い未知の神秘の国。
「グローバル」という言葉に眩惑(げんわく)された現代社会において、独自性を貫く強さを持つインドの、そのかたくなさに、われわれは神秘的な魅力を感じずにはいられないのだと思う。
 歴史の中で育まれ、継承され続けた地域独自の文化を自ら進んで手放しながら、伝統が息づく暮らしに憧れ、伝統の消滅を憂う矛盾を抱える世界へ、若きインドの女性監督がリアルなインドの今を突きつける。
 そもそも神秘の国も、そこで生きる人にとってはただの日常。体に染み付いた伝統文化は素晴らしいばかりでもなく、カースト制度の名残や宗教観にまつわる掟(おきて)など、人々を生きづらくする風習さえも古来のまま受け継がれている。伝統の中、特に生きづらさを強いられてきた女性たちが、心の声を吐露するように物語は進む。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『私たちが光と想うす...の画像はこちら >>
編集部おすすめ