理由の定かでない追及で最初に湧く感情は怒り。怒りがやがて正体の知れない不安へと移行していく様にこちらも身を固くする。つかみどころのない不安は少しずつ2人の距離を引き離しにかかるが、それでも同時に査問を受けている間はまだ手を取り合えた。
いやー、2人と一緒に怒りにまかせて「理由を説明しろ!」と心の中で悪態をついていたら、次は疑心暗鬼の海に落とされて溺れそうになる。
きりきりする胃を押さえながら訪れたラスト。渇望したはずの審査官の一言の前に、私も2人と一緒に硬直する。予測不能な77分。どんなサスペンス映画よりもスリルに富んでいる。
(スターシアターズ・榮慶子)
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