杏寿は「川満彩杏(あい)」としてタレント、俳優で活躍後、2017年に金原亭世之介に入門、19年に前座、23年に落語家と名乗れる二ツ目に昇進した。
一席目の演目「琉球竹」は古典落語「金明竹」を沖縄版にアレンジ。骨董(こっとう)店の店番や店主の妻が、やんばるから品々を納めようと来店した客のうちなーぐちを理解できず、店主らと滑稽なやりとりになる場面を描いた。
二席目の「お菊の皿」は怪談「番長皿屋敷」をベースにした滑稽噺(ばなし)で、見せ物として図に乗ったお菊が現代アイドルの人気曲を歌う場面を加えるなど、杏寿らしい演出に会場も沸いた。
三席目の「たちきり」は商家の若旦那が道楽癖から蔵住まいを命ぜられる中、心を通わせた芸者が恋煩いで亡くなる物語。杏寿は、芸者が若旦那を待ちわびて次第に弱っていく様を声色で表現するなど情感たっぷりに演じた。
杏寿は「真打ちに上がったらコンベンションで独演会をと思っていたが、二ツ目3年目で実現した」と来場した観客へ感謝した。
独演会では昨年前座になった読谷村出身の三遊亭歌(か)ん太、那覇市首里出身のお笑い芸人ハンジロウが花を添えた。(編集局付・上間正敦)