9月2~4日、「ICCサミット KYOTO 2025」に参加してきました。ICCサミットというのは、全国から経営者や起業家、研究者、職人まで、とにかく「産業をつくる人たち」が一堂に集まる、日本でも有数のカンファレンスです。
テーマは「ともに産業をつくる」。その名の通り、会場は熱気に包まれ、真剣に語り合う人たちの姿に胸が熱くなります。
 その中でも特に思い入れと縁があるのが「サケアワード」。全国から異なる酒類の蔵元や酒類関係者が集まり、予選から決勝まで4度のプレゼンとテイスティングで勝ち抜いていく、本気の真剣勝負の場です。私はこれまで第2回大会で優勝、第4回で3位。そして今回は、審査員として参加させてもらいました。
 出場者として立ったときの緊張感や、結果発表の瞬間の喜びは今も忘れられません。小さな酒蔵の泡盛が、多くの人に届いたあの体験は大きな励みでした。そして今回、審査員の立場から見えたのは「どのお酒も蔵人も本当においしく、熱いストーリーと表情がある」ということ。そのうえで、造り手の“熱”や想いが伝わってきたとき、さらに人の心を揺さぶるのだと感じました。挑戦者の言葉や姿勢、その背景にある努力や物語こそが、会場を沸かせていました。
 世の中には素晴らしい商品やビジネスモデルがたくさんあります。
でも、それだけじゃ人の心はつかめない。情熱を持ってつくり、届けようとする“熱”が加わった時に、初めてモノは文化になり、人をつなぐ力になるのだと思います。お酒はその1杯のグラスから出会いが生まれ、語り合いが広がり、未来を描ける。
 今回の大会で、全国から集まった挑戦者の熱を間近で感じ、改めて大きな刺激を受けました。産地も立場も関係なく、人と人がつながることこそ、新しい産業を育てる原動力だと改めて実感しました。これからも泡盛を通して人を結び、産業の未来に挑戦していきたい。生産者の“熱”こそが産業を動かす力であることを、強く確信した時間でした。(池原酒造代表)
次回は下向依梨氏(roku you代表)です。
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