[戦後80年]
 戦後80年の節目に、沖縄県内の県立高校生が集まり、平和教育に関するハンドブックの制作プロジェクトが進んでいる。高校生目線の思いや考えを発信し次世代につなぐ構成にしていきたい考えで「高校生が考える10のアクション宣言」も盛り込まれる。
8月19日には県教育庁に15人が集まり、制作会議が開かれた。ハンドブックの完成後は県内高校に配布される予定で、10月に糸満市で開かれるフォーラムでも報告される。(社会部・新垣亮)
 同プロジェクトは、うなぁ沖縄代表で社会起業家の玉城直美さんが講師を務める。
 同日までに会議や、県平和資料館やひめゆり平和祈念資料館などの見学を行ってきたメンバー。まずは4グループに分かれハンドブックに盛り込みたい沖縄戦の情報について考えた。「米軍の本土進出を遅らせるための持久戦だった」「住民の犠牲が多かった」「今でもトラウマを抱えている人がいる」「教育が与える影響」といった意見が上がった。
 その後、生徒たちはハンドブック制作と並行して取り組む企画として案を出し合った。あるグループは五感で理解を深めてもらおうと、県立博物館・美術館で沖縄戦をテーマに学生が運営するアート展の開催を企画。「若い世代が平和の大切さを自分事として考えるきっかけをつくるのが目的。家族みんなで来ることができるようにしたい」と説明した。
 別のグループは、現在と当時を比較できる写真を盛り込んだマップの作成を考えた。ポスター、パンフレットの両方を制作し、沖縄戦を学びたい人や観光客など対象に応じて内容を変える工夫をしたいとした。
動画制作などのアイデアも出た。
 参加した那覇西高校2年の高木南花(はな)さん(17)は糸満市出身。これまで戦争体験の講話など多く聞く機会はあったが「記憶に残るが、考えるきっかけになったかは疑問」と話す。県外の人らに沖縄戦の体験を伝えるにはどうしたらいいかを考え、プロジェクトに参加を決めた高木さん。他のグループの発表を聞き「修学旅行生たちにも知るきっかけになるような取り組みにしたい」と語った。
 県教育庁の担当者は「次代を担う高校生が主体性を生かして次の世代につなげていくことが大切だ。学校で活用してもらうため、分かりやすいハンドブックの完成を目指したい」と話している。
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