今や認知症は高齢化社会において重要な課題となっています。そのため、いろいろな方向からのアプローチが必要と思われます。
1.認知症の早期発見…早期発見は予後に極めて影響を与えると考えます。
県内には認知症を心配されている方やその疑いのある人を家族にお持ちの方が相談できる認知症疾患医療センターが数多く設置されています。アルツハイマー型認知症の場合、進行を遅らせる薬剤が日々開発されており効果が期待できます。
認知症の治療には薬物療法だけでなく、心理的社会的介入も重要です。患者さんの個別ニーズに応じた治療計画をたて、音楽療法やリラクセーション療法を取り入れることもあります。三線などの琉球音楽は患者さんの心を癒やし、ストレスを軽減する効果があるといわれています。
2.地域社会との連携…沖縄特有の「ゆいまーる」という助け合いの精神は、認知症患者さんとその家族を支える重要な要素です。役所を中心に運営している地域包括支援センターや認知症疾患医療センター等が連携し、患者さんの生活の質を向上させるための支援をしてくれます。これにより、患者さんが地域社会とのつながりを維持し孤立を防ぐことが可能です。
3.予防への取り組み…認知症予防には生活習慣の改善が不可欠です。バランスの取れた食事(沖縄の伝統的食文化は認知症の予防に寄与する要素を多く含んでいます)、適度な運動そして社会活動への参加も予防には効果的です。
特に大事なことは、睡眠のリズムが安定していることです。
これらの取り組みは地域全体の健康促進にも寄与しています。専門的な知識と地域支援を使っていくことが非常に大事であると思います。(松原卓也・勝連病院院長=糸満市)