一審に続き少女の証言の信用性を全面的に認めるもので、被害に向き合った判決と言える。
被告側は母親の110番通報の内容が少女の証言と異なっている点などを挙げ「(少女証言の)信用性評価を大きく誤った結果、有罪と判断したもの」として再び無罪を主張していた。
これに対し裁判所は「通報時の緊迫した状況を考えれば(情報の)齟齬が生じることは十分想定される」とし、少女証言の信用性を左右するものではないとした一審判決に不合理な点はないと判断した。
少女の年齢を認識していたかどうかについて、被告側は少女が年齢を偽った可能性があるとした。
だが、少女はかなり小柄な上、事件当時、学校指定の体育着のズボンをはいていた。裁判所は「若年の学生であることは一見して明らか」とし、「(被告側の)所論は採用できない」としている。
事件が発生したのは2023年12月。同年施行された不同意性交罪では、被害者が13歳以上16歳未満で加害者が5歳以上年上なら、同意の有無に関係なく罪に問われる。
判決は被告側のいずれの指摘も「無罪であるという事実誤認の主張」と断じており、法改正の趣旨に沿ったものだ。
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事件は、公表の在り方を巡っても問題となった。
政府と県警は県にも伝えず、県民が知ったのは発生から半年以上もたち、初公判直前のことだ。
その後も公表されていない性暴力事件が発覚し、批判が上がった。
政府は事件後、捜査当局から県に伝達する仕組みをつくったが、報道機関などへの公表はなく十分とは言えない。
事件の公表は犯罪抑止にもつながる。被害者のプライバシーに配慮しつつ、できる限りの情報共有が求められる。
公判に際し、被害少女は出廷を余儀なくされ、5時間にわたる尋問を受けた。
つらい体験を何度も語ることは二次被害にもつながりかねない。被害者の負担が大きい公判の改善も急がれる。
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再発防止策はどうなっているのか。
在日米軍が犯罪抑止に向けた日米の新協議体「フォーラム」創設を発表したのは24年7月。
しかし、初会合が実施されたのはことし5月だ。真剣に取り組む気があるのか疑わしい。県警と米軍による夜間合同パトロールも4月から数回実施されているが効果は見えない。
米軍基地が集中していなければこれほど事件が起きることはなかった。効果的な再発防止策は日米両政府の責務だ。