沖縄本島中部の公園で2023年12月、面識のない16歳未満の少女に声をかけて車で自宅に連れ去り、性的暴行を加えたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪に問われた米軍嘉手納基地所属の空軍兵長の男(26)の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は10日、懲役5年とした一審那覇地裁判決を支持し、無罪を主張していた被告の控訴を棄却した。(社会部・城間陽介)
 三浦隆志裁判長は、 一審で争点となった(1)性的同意の有無(2)少女が16歳未満で(同意の有無に関係なく不同意性交罪の処罰対象となる)5歳以上の年齢差があるとの認識(3)わいせつ目的の連れ去り-について、いずれも検察側の主張を認めた一審判決を支持。
「不合理なところがあるとは認められず是認できる」とした。
 弁護側は、少女の証言は変遷があって母親の通報内容と整合せず、一審判決は信用性評価を誤ったと主張していたが、少女の証言に「否定すべき事情は見当たらない」と判示した。
 判決は、少女が仮に被告の車や自宅で一定時間会話を続けたとしても「性的行為に同意していたことを推認させるものではない」として、弁護側の主張を退けた。
 被告の弁護人は判決後の取材に「何も言えない」と上告に言及しなかった。2週間以内に上告しなければ懲役5年の刑が確定する。
 事件を巡っては日本政府や県警が県に伝えず、起訴から約3カ月後の昨年6月に報道で判明。政府が非公表事件を巡る県への連絡体制を見直す一因となった。
 県警は、公表していない米軍関係者の性犯罪についても逮捕や書類送検の段階で、県に情報提供する運用に見直した。
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米兵の控訴棄却 懲役5年を支持 少女証言の信用性認める わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で 高裁那覇支部
三浦隆志裁判長
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