南大東島の風に育まれたサトウキビから、特別なラム酒を造ろうと奮闘する女性を描いた伊藤沙莉主演の映画「風のマジム」が12日から全国公開される。沖縄先行公開が始まった5日、那覇市で主演の伊藤と原作者の原田マハ、芳賀薫監督が舞台あいさつを行った。
伊藤は「短い時間ですが、楽しんでくださいね。ゆたしくうにげーさびら」と、うちなーぐちを交えて観客に呼びかけた。(フリーライター・たまきまさみ)
 「風のマジム」は原田マハの同名小説を映画化。契約社員でありながら社内のベンチャーコンクールを活用してプロジェクトを立ち上げ、社長となった女性の実話が描かれている。
 主人公の伊波まじむを演じた伊藤は「真心を込めて作った大切な作品を、やっと皆さんにお届けできて、でーじうれしく思っています」とあいさつ。客席からは指笛が響いた。
 うちなーぐちでの演技は「音の取り方が難しくて苦労しました。1音違うだけで広島弁や京都弁のように聞こえてしまい、迷子になったことも。今科子さんの指導で、だいぶ良い感じに仕上がったと思います」と振り返った。
 また、豆腐屋を営む伊波家のシーンは実在する豆腐店を借りて撮影。芳賀監督は「昔ながらの家族経営の店が少なく、交渉を重ねてようやく協力いただけた。本当に撮りたいと思っていた場所で撮影でき、そこに生きる家族の姿を自然に描けた」と語った。

 デビュー作「カフーを待ちわびて」など、沖縄をモチーフにした作品を手がけてきた原田は「小説を書いた時から、映画という形でお返しできたらと思っていた。特に沖縄の方々に向けて大きなギフトになったのではないか」と映画化を喜んだ。
 伊藤は「多くの方に愛されている作品の映画化なので、まじむのまっすぐな思いや、さまざまな人との出会い、支えの中での成長を描いています。強いメッセージというより、皆さまの心にふっと届けばうれしい」と作品をPRした。
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伊藤沙莉「心にふっと届けば」 主演映画「風のマジム」で舞台あいさつ 沖縄で先行公開、9月12日から全国
映画「風のマジム」の一場面(c)2025映画「風のマジム」 (c)原田マハ/講談社
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