[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](364)
 80歳で20本以上の自分の歯を保とうという「8020運動」が始まって30年以上がたちました。これは、歯が健康であれば、食事や会話を楽しむことができ、生活の質が向上するという考えに基づいています。
最近の研究では、かむことが脳の活性化に関与していることが明らかになってきました。しっかりかむことで脳に刺激が伝わり、認知症の予防につながるとされています。
 また、歯を失うことが全身の健康に悪影響を及ぼすことも分かっています。歯の喪失は、かむ力の低下を招き、栄養の偏りや食欲不振を引き起こす可能性があります。その結果、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少症)といった健康障害が進行するリスクが高まります。歯科医師としては、患者さんができるだけ多くの歯を残して健康に過ごせるよう支援することが使命です。
 歯の治療を目的とした通院が、実は体の健康維持に大きく関係していることをご存じでしょうか。最近の研究では歯周病が糖尿病や心疾患、認知症、高血圧、誤嚥(ごえん)性肺炎など、さまざまな全身疾患のリスク因子であることが分かってきました。そのため、定期的な歯科検診やクリーニングによって歯周病を予防・早期発見・早期治療することが、全身の健康維持に寄与する重要な取り組みとされています。
 また、歯を失った場合には、入れ歯やインプラントなどの補綴(ほてつ)治療を通じて、かむ機能を回復させることも大切です。毎日の食生活において、しっかりかめることが「幸せな生活」の健康維持に欠かせません。そのためには、歯と口の健康を守るための定期的なメンテナンスが重要です。
もちろん、日々の正しい歯磨きやフロス、ブラッシングのケアといった自身の食後のケアも大切です。
 「かむ喜び」が「健康」につながります。(本永昌代・宮古島デンタルオフィス=宮古島市)
しっかりかんで認知症予防 失うと全身の健康に悪影響も 歯のメ...の画像はこちら >>
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