Q 制度改正で遺族厚生年金が有期給付になると、生活が立ちゆかなくなる人が出てくるんじゃないかな。5年で打ち切るなんて「改悪」だよ。

 A 「5年有期が原則」と言われると、確かに不安になりますよね。でも実は、誰もが5年限りで支給打ち切りになるわけではありません。
 Q どういうこと?
 A 新たに「継続給付」という仕組みが 設けられます。
 配偶者との死別後、5年が経過してもなかなか生活再建に至らない人もいらっしゃいますよね。
 そこで、5年の有期給付の終了後も①収入が十分でない人②障害がある人―に配慮して、引き続き最長で65歳になるまで遺族厚生年金を受け取れるようにします。
 制度改正後、5年の有期給付期間の年金額は現行制度の約1・3倍に増額されますが、継続給付でも同様に増額された年金が受給できます。
 厚生労働省は、遺族厚生年金受給者のうちの多くが継続給付の対象となり得るとみています。
 Q 「収入が十分でない」と判定する具体的な基準を教えて。
 A 国民年金保険料の納付免除基準を考慮して、正式にはこれから政令で決めるそうです。遺族が単身の場合、給与収入が年132万円(地方税法上の「寡婦」に該当する女性は年約204万円)以下であれば、継続給付は全額支給されます。
 収入が増えるにつれて、年金額が緩やかに減る仕組みです。収入が一定額を超えると、継続給付はストップします。

 Q 障害がある場合は。
 A 障害年金1~3級の受給権者が対象です。
 65歳未満では障害年金と遺族年金は併給できず、どちらかを選択するルールです。1、2級で既に障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給している人は、年金額を考えると遺族厚生年金を選ばないかもしれません。
 一方、3級には障害基礎年金が制度上ありません。自分の障害厚生年金より遺族厚生年金の額が多ければ、後者を選べます。3級の人にとって朗報と言えるでしょう。
遺族年金見直し(3)5年経過後も「継続給付」 低収入や障害状...の画像はこちら >>
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