立候補したのは、小林鷹之元経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保相、小泉進次郎農相の5人。
石破茂首相の退陣表明に伴うものだが、1年前の総裁選に名乗りを上げた顔ぶれでもある。
ただ1年前との決定的な違いは、昨年10月の衆院選、今年7月の参院選で敗れ、少数与党に転落して初めて迎えた総裁選ということだ。
自民党総裁が首相になることが確約されているわけではない。
今回の総裁選の主要論点の一つが、政治の安定に向けた野党との連携である。予算案や法案の成立には野党の協力が欠かせず、どのように多数派を形成していくかが問われている。
「連立枠組みの拡大」から「数合わせで連立を組むのは本末転倒」まで、候補者のスタンスには濃淡が見られる。
石破政権がそうしたように、政策課題ごとに協力できるパートナーを求めていく「部分連合」もあるだろう。
連立政権の枠組み拡大か部分連合か。そしてどの党に協力を求めるのか。
誰が総裁に選ばれても少数与党の苦境は変わらない。
選挙戦では各党が重視する看板政策への対応を含め、多党化時代の新たな「連立政治」の在り方を提示する必要がある。
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物価高対策も待ったなしの争点だ。
候補者は、所得税減税や給付付き税額控除、生活支援交付金創設などさまざまな主張を展開している。
他方、自民が参院選公約に掲げた一律2万円の現金給付については、どの候補も触れていない。大敗した選挙結果を見れば当然といえる。
ただ参院選から2カ月が経過し、家計の厳しさは限界に近づいている。「いつ実施するのか」も併せて語らなければならない
参院選では自民の岩盤支持層とされた保守層の一部が新興政党に流れたとされる。その危機感からくる内向き志向と言っていいのではないか。
22日に開かれた立候補者による演説会では、5氏のうち4氏が外国人規制強化を訴えた。
他方、選択的夫婦別姓導入などの主張は影を潜めている。
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総裁選告示で本格論戦がスタートした。
テレビでは連日、候補者の話題が、かなりの時間を割いて報じられている。
次期首相になるかもしれない候補者の政策を知ることは重要だが、あふれんばかりの報道には違和感を覚える。
加えて総裁を選ぶことができるのは党所属の議員や党員らに限られる。
5年間で4回目となる総裁選にへきえきし、政治空白を心配する声も広がっている。
総裁選報道の在り方も見直す時期である。