オリオンビール(豊見城市、村野一社長)は25日、東京証券取引所のプライム市場に上場した。沖縄県内で製造業の上場は初めてで、最上位のプライム上場は5社目。
市場の期待は大きく、初値は公開価格(850円)を1013円上回り、2・2倍となる1863円を付けた。午後3時半に取引市場が閉まり、初日の終値は2・3倍の1950円だった。

上場を記念するセレモニーに出席するオリオンビールの村野一社長(中央)ら=25日午前11時過ぎ、東京・兜町の東京証券取引所

 午前9時の取引開始直後から買い注文が殺到し、初値を付けたのは午後2時前だった。
 東京・兜町の同取引所では村野社長らが上場を記念する鐘を打ち鳴らし、新たな門出を祝った。村野社長は記者団に「世界に打って出る」と述べ、海外事業の拡大に意欲を示した。
 買い注文が相次いでいることについて、金融関係者は「『ジャングリア沖縄』との関係性やオリオンTシャツなど、ブランド力があるのは間違いなく、人気銘柄で注目度は高い」と分析している。
 同社は1957年、「沖縄ビール」として創業した。翌58年にビール名を一般公募し「オリオンビール」が誕生。59年には社名も「オリオンビール」とした。
 これまで、県内、国内にとどまらず、台湾、米国など海外の販路も拡大。ホテル運営など、事業の多角化も進めた。
 一方、ビール事業で苦戦していた2019年、経営の安定を図るため、野村ホールディングスと米投資ファンドのカーライル・グループに株式を売却。
新たな経営陣の下、上場を視野に事業基盤の強化を図ってきた。
 6年以上の歳月を費やして実現した今回の上場で、野村とカーライルは保有する全株式を売却。オリオンは新たな株主と向き合いながら、事業拡大の道筋を描く。
 これまで収益に寄与してきた、沖縄復帰特別措置法に基づく酒税軽減措置の期限が来年に控える中、自立に向けたビジョンも注目される。
 今回の売り出し株式数は2756万3200株で、需要に応じて主幹事社が既存株主から株を借りて発行するオーバーアロットメントは、413万4400株。
 株式の一部は、地元との関係構築や福利厚生などを目的に沖縄銀行、琉球銀行、琉球海運にそれぞれ58万8200株ずつ、沖縄海邦銀行に35万2900株、オリオンビール従業員持株会に12万5200株を売り渡す「親引け」を実施する。(東京報道部・島袋晋作)
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