中でも私が大好きなのが神代辰巳監督。1970年代~80年代にかけての作品なのに、音楽も映像も全てがスタイリッシュでモダンで、そして何より女性が魅力的。神代監督が女性を愛していて、すごく女性に敬意を持っていることが伝わる。
「黒薔薇(ばら)昇天」は、ブルーフィルムの監督が美しい女性に恋をして、彼女を口説くと同時にブルーフィルムに出そうと画策する、割と不謹慎な物語。ただ、口説かれて困り果てる女性の移り変わる心の機微や、本人にも理解し得ない乙女心を宿した「肉体」という神秘をシンプルに、でも的確に描く手腕に圧倒される。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中