柔らかな色調とは裏腹に、画面の中心にいるのは、ある計画のためになりふり構わず資金集めに奔走する大富豪。6度の暗殺未遂もなんのその。修道女見習いの長女まで呼び寄せて何としても計画を続行しようともくろむ。
登場人物たちが懸命に立ち振る舞えば立ち振る舞うほどに、劇場から笑いがほとばしる。監督へのリスペクトと憧憬(しょうけい)が止まらないのだろう、普段なら主役級の役者たちが、ちょい役を必死に楽しそうに演じている。
美術品に浸りながら旅までできる。秋にはぴったりの作品。
(スターシアターズ・榮慶子)
◇パレットで上映中