シェルブールはフランスの田舎町。この映画の舞台として有名になって以降も観光に頼りきらず日々の営みを送ったのだろう。
今も映画の中とあまり変わらない街並みの中で人々が生活を送っている。
 そんな誇り高き美しい街で繰り広げられるのは、戦争に引き裂かれ終わっていく、ある一途(いちず)な恋。レチタティーヴォという話すような歌唱法で全てのセリフが紡がれていく。「靴が少しきついわ」なんて何げないつぶやきまで、全てを歌に乗せて届けるミュージカル映画。
 ミュージカル映画は演じる側も撮る側も、作曲する側も、超絶高度な技巧が必要になるというが、そんな難しさを微塵(みじん)も感じさせず、ドラマチックな展開と、ミシェル・ルグランの音楽と、カトリーヌ・ドヌーヴの美しさでのみ込んでいく。ルグランのドキュメンタリーと合わせて見ると感動もひとしお。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】シェルブールの雨傘 ...の画像はこちら >>
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