沖縄県宮古島市下地与那覇にある創業31年の「農家民宿 津嘉山荘」の一角に、津嘉山さん一家4人が営む昼食時間だけの「お食事処 おいシーサー」が昨年4月にオープンした。典型的な沖縄の古民家の間取りで仏壇や床の間があり、壁には家族がもらった賞状などが飾られているアットホームな宮古そば専門店だ。
看板メニューのラフテーそば(950円)には、器からはみ出るほど巨大な肉塊がのっている。
民宿の津嘉山千代さん(82)が過去に全国食肉事業協同組合連合会のファミリーミートクッキングコンテストで農林水産大臣賞を受賞した「ぴり辛肉と黒小豆の煮物」を、孫で店長の太志さん(25)と民宿を営む父の健さん(55)が、そばに合う味にアレンジした。
3日間かけて仕上げており、ホロホロでしっかりと味が染みて肉のうま味が感じられる。「おなかいっぱい食べてもらいたい」(太志さん)との思いで、塊のまま提供している。
なんこつソーキそば(950円)は軟らかさが特長で、こちらも同じく大きな肉塊がのっている。
だし汁はかつお節、いりこ、昆布をベースに豚の仕上げのゆで汁を加え、臭みや脂を抑えた。
豚のゆで汁を使ったじゅーしー(100円)はモズクやアーサ、ヒジキなど日によって具が変わる。
同じ味を作り続ける難しさを実感する太志さんは、「ブラッシュアップして昨日よりおいしいものができるのが料理の醍醐味(だいごみ)」と楽しみながら励んでいる。
市街地から離れていながらも、既に口コミで観光客の人気をつかんだ。太志さんは「地元に愛される店にならないと長く続かない。地元に恩返しできるような店づくりをしていきたい」と目標を語った。(宮古支局・當山学)=金曜日掲載
【お店データ】営業時間は午前11時~午後2時。

