第49回沖縄の産業まつりがきょう開幕する。
 那覇市の奥武山公園と県立武道館を会場に、26日までの3日間、沖縄の「ものづくり」を広く発信する。

 ことしのテーマは「見つけよう 私の推しの県産品」。436の企業や団体が自慢の商品を紹介する県内最大の産業イベントだ。
 近年は商談会のほか、国内外のバイヤーが訪れるなど県産品を県外に売り込む機会にもなっている。観光客も足を運ぶようになり、消費喚起のインパクトは県内だけにとどまらない。
 会場は六つのエリアに分かれ、商工会特産品フェア「ありんくりん市」には97ブースに地域の資源を使い開発した逸品が集う。特産品コンテストで県知事賞に選ばれた「糸満産ジェラートセット」と「伊江島のアダヌ葉帽子」も販売される。
 別のエリアでは、沖縄の農林水産物などの成分を生かした健康食品や化粧品、工芸品や琉球料理など伝統的な食文化、最新の建設資材、環境問題への取り組みなどが紹介される。
 IT企業がシミュレーター技術を使い、戦前の沖縄を走った軽便鉄道をレバー操作で走らせ、3DCGで昭和初期の沿線風景や人々の暮らしを体験できるユニークな展示もある。教育や観光分野での活用が期待できるという。
 那覇商業高校の生徒が沖縄製粉とオリジナルのサーターアンダギーを共同開発し、出展ブースに並べ販売体験をするなど、ものづくりを担う若者を育成する場にもなっている。
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 県経済は基幹産業の観光が好調に推移し入域客が過去最多を更新する勢いだ。しかし、産業構造は復帰後、サービス業などの第3次産業が拡大する一方で、製造業など第2次産業は減少傾向にある。
県内総生産で見ると製造業の割合(2018年度)は4・3%で全国の20・7%と比べて4分の1以下にとどまる。
 新沖縄21世紀ビジョン実施計画の基本施策では、企業の「稼ぐ力」の強化、第2次産業と県産品の振興、新たな価値を創造し、産業をけん引する人づくりと人材の確保を掲げている。一方、中小零細企業が多い県内ではデジタル技術やDX活用が遅れ、コスト高を価格転嫁できず、賃上げが追い付いていない状況もある。
 県工業連合会は23・6%(15年)にとどまる製造業自給率を引き上げることで、生産誘発額と雇用者の増加を訴えている。県産品の需要増加は、県経済の発展には欠かせない。
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 産業まつりは1977年初めて開催された。戦後の基地経済からの脱却と沖縄海洋博後の不況を県民の力で乗り越えようとした平良幸市知事の肝いりだった。来年節目の50回を迎える。
 ものづくりの多様さと産業界の息吹を感じ取ることができる場でもある。生産者の顔を見ながら、言葉を交わし品定めすることが商品力のアップにもつながる。
 会場に足を運んで、県産品の今とその可能性を体感してほしい。
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