浮かんだ感想は、「許しと共生の物語」だった。ヴィクター・フランケンシュタイン博士は、死を超えるという執念から、遺体の断片をつなぎ合わせてクリーチャー(生物)を生み出す。
だが理想との違いを受け入れられず、目を背け否定する。
 一方クリーチャーは、純粋な心を持ちながらも、その異形ゆえに人に恐れられ忌み嫌われ、傷つけられる。物語は2人の視点で描かれる。
 自分と違う存在に不安や恐れを抱くのは、誰もが持つ正直な感情だ。ただし、その恐れを理由に相手を排除し「怪物」扱いするのか。違いを理解し尊重して手を伸ばすのか。私たちが選べる領域のはずだ。
 古典作品をアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロが、現代にも通じる解釈で仕上げた。ネットフリックスの配信作を映画館で先行上映するという異例な形態だが、クリーチャーのまなざしに真正面から向き合えるのは、劇場の闇の中だと思う。(DX推進部・屋良朝輝)
◇パレットで上映中
【スターシアターズ・屋良朝輝の映画コレ見た?】『フランケンシ...の画像はこちら >>
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