米軍普天間飛行場で、戦闘機やヘリの離着陸が相次ぎ、異様なほど騒音が激化している。
特に5日は激しく、午後8時以降も聴覚機能に支障を来す100デシベルを超える騒音が市内の測定4局で計14回確認された。普天間飛行場の滑走路の延長線上に位置する上大謝名では、日米合意の騒音防止協定で規制されている時間を超える午後10時36分に111・7デシベルを測定。車のクラクションを間近で聞く騒音レベルに相当する。
苦情は宜野湾市だけでない。那覇市や浦添市など広範囲から寄せられている。
深夜の静寂を切り裂く爆音に、家庭での会話もままならない状態だ。
米軍や国から具体的な情報提供がない中、市民は何が起きているのか分からず不安な夜を過ごした。
嘉手納基地で7日まで実施される即応訓練の影響で、騒音の激しいF35Aステルス戦闘機が普天間飛行場に移動し訓練した。米軍は詳しい訓練の内容を明らかにしておらず、沖縄防衛局も「米側に確認中」と説明するだけだ。
日中も保育園や学校、医療機関の上空で米軍機が目撃されている。
基地を提供する国の責任が問われる。
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騒音防止協定の限界が、改めて浮き彫りになった。
日米両政府が1996年合意した普天間飛行場と嘉手納基地の騒音防止協定では午後10時から午前6時までの飛行は制限されているが、「米軍の運用上必要なもの」は規制の対象外だ。
「場周経路は、できる限り、学校、病院を含む人口稠密(ちゅうみつ)地域上空を避けるように設定する」とされ、これも米軍の裁量次第である。
県の2024年度の航空機騒音調査で、嘉手納基地と普天間飛行場の深夜早朝の騒音は、協定締結後、最多の水準になる地点もあり、悪化傾向にある。
日米安保の重要性を唱えるばかりで、基地の地元住民の生活環境を軽視し、米軍の運用にほとんど異を唱えることがない、日本政府が招いた結果である。
騒音は健康被害が懸念されるだけではない。墜落や事故を想起させ、精神的な安らぎも奪われている。
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騒音防止協定の形骸化、実効性のなさを県民は肌感覚で分かっている。
ドイツやイタリアの地位協定は平時には国内法が適用され、米軍の訓練には承認が必要とされる。航空法の適用など日米地位協定の抜本的な見直しが必要だ。
高市早苗首相は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と強調する。だが、地元住民の生活を犠牲に安全保障は、成り立たない。
政府はまず、騒音防止協定の順守を米軍に強く求めるべきだ。言葉だけの「負担軽減」ではなく、問われているのはその実効性だ。

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