那覇市出身の藤田周子(38)が、イギリスのロンドンでブルースシンガー・Shukoとして活動している。初めてステージに立ったのは2023年。
遅い出発だが、両手の「ハジチ」に沖縄の誇りを込め、バンド「Two Gun Matilda」(ツー・ガン・マチルダ)を率いる。バンド名は古いブルースにちなんだ。「歌詞が始めたからにはやめないという当時の気持ちにぴったりだった」と話す。
 ロンドンには学生時代の2007年に1年間留学し、12年から本格的に移住した。ブルームバーグなどいくつかの企業で働いたが、新型コロナウイルスの拡大によるロックダウン明けに訪れたブルースバーで、生演奏に衝撃を受けたという。
 「ミュージシャンたちが、10秒20秒くらいの打ち合わせでパッと演奏するのにほれたんです。言葉ではないコミュニケーションがすごくかっこよくて、私も分かるようになりたいと思った」
 聞きに通っているうちにミュージシャンたちと仲良くなり、「歌ってみたら」と勧められ、2023年1月にジャムセッションに飛び入りしたのが初ステージだった。
 知り合いのバンドに呼ばれるようになり、2024年に「Two Gun Mathilda」を結成した。50~60年代のブルースやR&B、昭和歌謡などを織り交ぜて、持ち味のパワフルで太い声を響かせている。
 ステージでは、両手のハジチがスポットライトを浴びることもある。彫ったのは5年前。沖縄を離れているからこそ、琉球の伝統的な女性の入れ墨で誇りを形にしたかったという。

 ロンドンでは、どこの民族の模様かと尋ねられることも多く「琉球はかつて王国で、ハジチは日本に併合された時に禁止された」と説明する。「単なるファッションではなく、沖縄の歴史を伝えたい」と思う。
 「Show girl」などを収録したデビューEPを近日発表。19日には那覇市の「Jazz Live in 寓話」でライブを行う。
 ブルースとハジチ。異なる文化を背負って、歌っていく。「50、60年代のサウンドを大事にしながら、オリジナル曲を加えていきたい。ただのカバーでなく、自分たちの色を加えて、現代によみがえらせたい」と抱負を語った。(社会部・真栄里泰球)
沖縄の誇り刻む入れ墨「ハジチ」を両手に ロンドン拠点のブルー...の画像はこちら >>
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