昨年12月、韓国の大統領ユン・ソンニョルが突如「非常戒厳」を宣布し、同国内は大混乱した。この映画が映し出すのは、戒厳令が発令されるに至る前の社会に漂った不穏な空気。

 映画ではユン・ソンニョルの不正を追及し続けたメディア「ニュース打破」のジャーナリストたちが、フェイクニュースで世論を操作したという罪で弾圧される過程の一部始終が語られる。検察庁が不正に不当に彼らを徹底的に追い詰め、ジャーナリストたちが不屈の抵抗を見せる。
 非常戒厳宣布によるユンの自滅によりニュース打破への追及は弱まった。でも言論が弾圧されていく際の有無を言わせずに圧倒する権力の恐怖が頭から離れない。
 理性と知性と品性を欠いた愚かな権力者に対抗するには、まずは私が知性と理性と品性を持たねばと思った。(桜坂劇場・下地久美子)
◇22日から桜坂劇場で上映
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『非常戒厳前夜』言論...の画像はこちら >>
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