南城市議会は、職員へのセクハラを認定された古謝景春市長に対する2度目の不信任決議を賛成多数で可決した。
 これにより古謝氏は即日失職した。

 改選後の議会では定数20のうち18人が不信任に賛成しており、当初から可決は濃厚だった。
 しかし、前日の日曜に古謝氏が辞職届を提出したことが判明。議会は急きょ議会運営委員会を開き扱いを審議した。結果、辞職届を承認せず改めて不信任採決に至った経緯がある。
 「辞職すればセクハラを認めたことになる」としていた古謝氏が届け出るとは釈然としない。
 それを蹴って不信任案を可決したのは、議会の強い意志の表れだ。
 第三者委員会にセクハラを認定されたにもかかわらず辞職を拒否した上、正当性のない議会解散に踏み切るなどこの間いくつも「暴挙」を繰り返してきた。
 不信任可決に伴う失職通知は議長から手交されるのが通例だが、この日の議会を欠席。議長は通知書を古謝氏の自宅に届けたが、そこでも姿を見せないなど、対応は最後まで市長の適格性を欠いた。
 今回の不信任決議で議会は、これまでの不作為を反省し、長期間にわたり事態を収束できなかったことを被害者や市民に対し謝罪。その上で古謝氏の一連の対応を「公人欠格」と断じた。
 暴走を続け混乱を深めた古謝氏の罪は重い。

■    ■
 今後重要なのは被害者の救済と日常を取り戻すこと。そして市政の正常化である。
 議会は不信任と併せ、市に対し一刻も早い被害者の保護・救済を求める「被害者救済決議」も可決した。
 混乱の長期化で市民の分断は深まり、被害者は誹謗(ひぼう)中傷などの二次被害にも苦しんでいる。議会は市民の声に耳を傾け、問題を解決に導いてほしい。
 二次被害の解消には市も重い責任を負う。
 そもそもの問題は、少なくとも約10年前から複数の訴えがあったにもかかわらず、根本解決に動かなかったことにある。
 古謝氏は、セクハラを否定する際「15年前からお茶くみをしている女性がうそをついた」とも発言した。
 このような感覚の人が市長だったことにあぜんとする。市長に物が言えない組織の在り方を変えていかなければならない。
■    ■
 職員らが訴え出る力となった背景には南城市の女性を中心とした「ハートのまち南城 人権ファーストの会」や女性議員によるシスターフッドがあった。
 セクハラに関し古謝氏は民事訴訟を抱える。
刑事でも検察審査会で不起訴不当となり捜査が進められている。失職して終わりとはならない。説明責任は果たされておらず、被害者への謝罪もいまだにない。
 古謝氏の失職に伴う市長選は来月21日に投開票される。
 候補者はまず一連の問題への認識と、セクハラなど人権侵害を根絶する明確な方針を示すべきだ。
編集部おすすめ