米軍準機関誌「星条旗」が、基地外で米軍が実施するパトロールで民間人を誤って拘束した動画の拡散を報じた。これを受けて在日米軍司令部は、単独パトロールを一時停止することを決めた。
男性は米国の退役軍人で、仕事で沖縄を訪れていた。取り押さえられながら「触るな、私に触る権利はない」と抗議している。
なぜ拘束され、どのような経緯で解放されたのか。動画だけでは詳細は分からない。だが少なくとも、民間人が米軍人に間違われ、暴力的に拘束されるという深刻な問題である。味わった恐怖や屈辱は大きかったに違いない。
拡散したもう一つの動画には、解放された後とみられる男性と米兵が会話する様子が映っている。
「身分証明書を見せない日本人も拘束できるのか」と尋ねる男性に、米兵は「できる。その後、日本の警察に引き渡す」と答えている。
パトロールは、米兵による女性暴行事件が相次いだことを受け、4月に日本側と合同で始まった。
憲兵によるパトロールは米兵に対するものであり、民間人は対象外。今回の誤認拘束は明らかに憲兵の勇み足で、基地外での過剰な警察権の行使である。
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パトロールは米軍犯罪の抑止力として期待する声がある一方で、民間人と米軍人をどう見分けるのかは懸念材料の一つだった。それが現実となった。
県内には外国人観光客も多い。那覇の繁華街で迷彩服姿の憲兵が複数で闊歩(かっぽ)する姿も異様であり、観光の面からマイナスのイメージを与えかねない。
機関誌報道を受け、溜政仁知事公室長は県議会米軍基地関係特別委員会で「事実関係を速やかに確認する」と述べた。
米軍は何があったのかを調査し、当事者に謝罪した上で、詳細な経緯を県に報告しなければならない。
単独パトロールが再開されれば、また同じことが起きる可能性は否定できない。中止すべきである。
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そもそもの問題は、日本の主権侵害につながりかねない米軍の基地外パトロールだ。
現行の日米地位協定と同協定に基づく「刑事裁判管轄権に関する合意事項」では、民間地域での合同パトロール中の米軍関係者の逮捕は、原則として米側が行うことになっている。
日本国内のしかも民間地で、日本の警察が治安維持のための権限を行使できない構図はいびつである。
米軍は、米兵の基地外での行動を規制する「リバティー制度」を確実に機能させる。民間地においては日本が主体となり、米軍が協力する形で日本の警察権を着実に行使する。日米の合意事項を見直すことが必要である。

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