なぜ削減するのか。削減の割合についても十分な根拠が示されないまま推し進められている。
拙速な対応には疑問しかない。
 衆院議員の定数削減を巡り、自民党と日本維新の会が法施行から1年以内に与野党間で結論が得られなかった場合には、現行定数465の約1割を自動的に削減することで合意した。
 両党の調整が付けば、小選挙区で25、比例代表で20の削減が法案に明記され、今の臨時国会での成立を目指すという。
 定数削減は、維新が連立を組む絶対条件として自民に提示したのが始まりだ。
 一方、自維の連立合意では、維新が他の野党と共に求めていた企業・団体献金の見直しについて結論を先送りした。
 与党入りのため維新が自民に忖(そん)度(たく)し、自民も定数削減と企業献金の存続は取引に値すると考えたであろうことは想像に難くない。
 しかし、参院選と衆院選での自民大敗の要因は、派閥裏金事件を発端とした「政治とカネ」の問題だった。
 高市早苗首相は、定数削減について報道機関の世論調査でも賛同意見が多いとするが、問題をすり替えるべきではない。
 見過ごせないのは「法施行から1年以内」という期限を設けたことだ。野党の反対をけん制したものだろうが、これでは十分な議論を尽くすことは難しい。
 議員定数は民主主義の根幹にも関わる重要な事項だ。与党の独断で進めることがあってはならない。

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 自維連立政権は、衆院では無所属でつくる会派「改革の会」所属の3議員が加わり、与党会派が過半数に達した。
 昨年秋の衆院選から続く少数与党の状況が解消され、法案を提出すれば可決される可能性が高い。それだけに熟議が求められる。
 法案では削減割合を現行定数の1割とするが、なぜその数字なのか根拠も示されていない。
 自民はすでに削減した場合の定数配分の試算まで行っている。
 2020年国勢調査人口を基に試算すると、小選挙区では20都道府県で1~3減少。その中には沖縄も含まれ、沖縄は現行の4から3になる。ほか、比例代表も全国11ブロック全てで1~3減ることになる。
 議員数の削減は地域の意見を国政に反映させる機会の喪失や、少数政党の存続にも関わる。
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 多党化の時代が到来している。
 国民の多様な意見を反映するために選挙制度の在り方を都度見直す必要はあるだろう。
 ただ、拙速なやり方では禍根を残す。

 当初、維新は比例代表のみの削減を提案したものの、投票結果と議席数がさらに乖(かい)離(り)するとして野党から批判が上がり、小選挙区の削減案が盛り込まれた経緯もある。
 与党の数の力で法案成立を押し切るようなことがあってはならない。
 与野党の幅広い合意と熟議こそが求められる。
[社説]定数削減法案 「熟議否定」の進め方だの画像はこちら >>
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