[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](367)
 人生100年時代といわれる近年、健康寿命への関心が高まっています。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間」のことです。
2022年度の厚生労働省の発表によると、女性の平均寿命は87・09歳、健康寿命は75・45歳で、その差は11・64年。男性では平均寿命81・05歳に対し健康寿命72・57歳で8・48年の差があります。日常生活に不自由が生じる期間が、男女ともに約8~12年あることになります。
 では、健康寿命を平均寿命に近づけるにはどうすべきでしょうか。実は生まれる前、母親のおなかの中にいる時期から「お口の健康」が重要だと分かってきています。歯周病菌が全身に影響を及ぼすことも明らかになり、口はまさに“健康の入り口”なのです。
 健康づくりの第一歩は、口の中を常に清潔にすることです。お使いの歯ブラシは自分の口に合っていますか? CMの印象で選んでいませんか? しっかり汚れが取れる道具選びは健康の基盤です。ぜひ歯科医院で、歯ブラシや磨き方を相談してください。
 第二の取り組みは食事です。食べ物を口から取り込み(摂食)、よくかみ(咀嚼(そしゃく))、安全に飲み込む(嚥下(えんげ))の一連の働きは健康に直結します。日常の食生活の見直しも重要です。
海外では日本食が改めて評価されています。ご飯・おかず・みそ汁という栄養バランスのとれた食事は、健康維持に適していると言えるでしょう。
 第三に、かかりつけ歯科医を持つことです。痛くなった時だけの受診ではなく、治療が終わった後こそ定期的な通院が大切です。歯科には“予防”という概念が確立しています。フッ素洗口や塗布でむし歯予防、歯周病の進行は歯肉チェックで防ぎます。日常ケアなど継続的な管理が受けられます。
 今日から始める小さな習慣が、将来の大きな健康へ。ぜひ、お口のケアを健康の道しるべの一つとしてみてはいかがでしょうか。
 比嘉良喬 比嘉歯科医院(那覇市)=第3水曜日掲載
歯の治療が終わった後こそ定期的な通院を 口は健康の入り口、予...の画像はこちら >>
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