27日公開の「プラハの春 不屈のラジオ報道」で主演を務めるチェコの若手俳優ボイチェフ・ヴォドホツキーさんがすてき。東欧の方特有の肌や髪や瞳の薄い色素と無表情のお顔が冷酷そうで、涼やかで、でも内に秘めた情熱がありそうでカッコいい。

 一方、本作で主演を務める香港のベテラン俳優トニー・レオン様の湿度の高いこと。実在した凄腕(すごうで)の詐欺師に扮(ふん)した彼は、亜熱帯のネットリと絡みつくような湿気を纏(まと)い、逃亡先のパリの、カラッと乾いているはずの空気にさえ潤いを与えてしまう。
 なんという存在感。なんという影響力。パリすらもわが物顔で闊歩(かっぽ)し、追いかけてきた中国警察をネットリとわなに絡め取っていく。うそつきは大嫌い。詐欺師は許さない! ずっと念じてたはずの思いが、映画を占拠するトニー・レオンの魅力と湿度に絡め取られていく。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『Fox Hunt ...の画像はこちら >>
編集部おすすめ