戦時中の水没事故によって183人が犠牲になった長生炭鉱(山口県宇部市)で2月、大規模な遺骨収容が実施される。初めて収容に成功した昨夏に続き、今回も大きな成果が期待される。
危険と背中合わせの作業をリードするのは水中探検家の伊左治(いさじ)佳孝さん(37)。犠牲者は最も多い朝鮮人が136人で、沖縄出身者も5人確認されており、「遠い所から来て亡くなってしまった方々を見つけたい」と思いを巡らせる。(編集委員・阿部岳)

海底の坑道で見つかった門のような構造物(伊左治佳孝さん提供)

 地元では長年、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が事故の継承に取り組んできた。伊左治さんは2023年末、ネットでたまたま取り組みを知り、協力を申し出た。
 洞窟などの閉鎖環境に潜るエキスパート。「そこにご遺骨があると分かっているのに手が届かず、ご遺族が忘れないといけないのは悲しい」。潜水調査に知見と時間を注ぐことを決めた。
 海底坑道への出入り口となる煙突状の排気・排水筒(通称「ピーヤ」)には配管や木材が積み重なっている。刻む会が寄付を募り、地元のダイバーが撤去を進めるが、昨夏も2回崩れるなど危険な状況にある。
 伊左治さんは沖縄など各地の海に潜っているが、長生炭鉱の時だけは毎回遺書を準備している。リスクが高いためと、万が一の場合、他の人へ後を託せるよう注意点などを書き残すためだ。

記者会見で長生炭鉱の状況を説明する伊左治佳孝さん=昨年11月、県庁記者クラブ

 坑道内の水はひどく濁り、 視界がほぼゼロの箇所も。
導線となるロープを張るなど、伊左治さんが突破口を開き、昨年8月には協力する韓国のダイバーが頭蓋骨と足や腕の骨計4点を引き上げた。靴や衣服を着けた状態の遺体も水中で確認されている。
 今年2月には、タイやフィンランド、インドネシア、台湾から高名な6人のダイバーが来日して収容を試みる。全体をまとめる伊左治さんは「悲しい事故を悲しい事故のままで終わらせず、今を生きる私たちが遺骨を見つけたり、それに向けて活動したりすることが、少しでも遺族の幸せにつながればうれしい」と話している。
[ことば]
 長生炭鉱水没事故の沖縄出身犠牲者 日本人犠牲者47人のうち沖縄出身者は1割以上を占める。新垣加那さん、新垣永幸さん、大城惣助さん、島袋貞清さん、仲松三良さんの5人。「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は遺骨のDNA鑑定に向け、遺族の協力を呼びかけている。
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犠牲者183人の長生炭鉱、2月に大規模遺骨収容へ 危険な潜水作業、水中探検家がリード 沖縄出身者5人も確認
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