独裁者から民主主義を勝ち取った瞬間を「春」と表現するようになったのは、1968年のプラハが最初だった。厳しい冬を耐え抜き、勝ち取った春の暖かさに沸き、禁じられてきた音楽を大音量で流して踊り明かす若者たちの歓喜の様相は、見ているだけで幸せな気持ちになる。

 それなのに、自由を謳歌(おうか)する民衆を、ソ連を筆頭にワルシャワ条約機構に加盟した隣国の軍隊が襲う。最初に攻撃されたのは、権力にこびず、民主化を望む人々の先頭に立ち、真実の報道にこだわり、自由を奪われることにあらがい続けたラジオ局。抵抗むなしく春はあっという間に終わった。
 映画は春の終わりを見せながら幕を下ろす。でも、春の暖かさを知った人々の心を、ワルシャワ条約機構くらいで再び凍らせるなんてできるわけがない。プラハはそれを歴史で証明してみせた。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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