国会召集日に論戦を経ないまま首相が衆院を解散する冒頭解散は、臨時国会を含め現行憲法下で4例ある。ただ今回冒頭解散となれば、通常国会が1月召集となった1992年以降では初めてになる。
通常国会は国民生活に直結する次年度予算案を審議する。国会の中でも最重要の場だ。その入り口で解散するとは、「大義」があるとは思えない。
聞こえてくるのは、高い内閣支持率を頼りに「勝てそうな時に打って出る」という「自己都合」の思惑である。
投開票が2月、その後に国会の再開となれば、政治空白が生まれる。2026年度当初予算案の3月末までの成立は難しく、暫定予算の編成は避けられない。
首相は年頭の記者会見で「物価高対策の効果を実感してもらうことが大切だ」と語っていた。国民民主党との合意でも「年収の壁」引き上げを含む予算案の早期成立を約束したはずだ。
自らが掲げた経済対策の裏付けとなる予算審議を後回しにしてまで選挙を断行し、「政権の安定」を目指すというのは、国民生活を政争の具とする無責任な変節と言わざるを得ない。
ましてや予算委員会で、与党側の「政治とカネ」や旧統一教会などの問題に対する野党側の追及を封じる狙いがあるとすれば、党利党略そのものだ。
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木原稔官房長官は13日、野党側から冒頭解散の真意を問われ、「首相の専権事項だ」と述べた。果たしてそうだろうか。
憲法7条は、天皇の国事行為の一つとして「衆議院を解散すること」を挙げ、「内閣の助言と承認」が必要と規定する。「首相がいつでも自由に解散できる」といった記述はない。
本来、解散権の行使は内閣不信任決議案が可決された場合(憲法69条)や、国論を二分する重大な争点で民意を問う必要がある場合に限るべきだ。
23日に解散すれば、現在の衆院議員の在職は454日で、現行憲法下で3番目の短さとなる。今回より短いのはいずれも内閣不信任決議が可決され、解散を余儀なくされたケースだ。
「7条解散」を、時の政権が自党に有利なタイミングを選ぶ道具として使うべきではない。
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高市首相の「台湾有事」を巡る国会答弁を受け、県内ではこれまで中国関連のクルーズ船寄港や航空便のキャンセル、修学旅行などの中止が相次いでいる。
世界ではトランプ米政権のベネズエラ攻撃をきっかけに国際法や秩序の在り方が揺らいでいる。
そんな内憂外患の状況で、政治の停滞を生むような冒頭解散はやめるという判断が必要ではないか。
予算案の審議を通じて、「責任ある積極財政」の実効性を証明し、山積する課題に答えを出す。
国民の審判を仰ぐのは、その後でも遅くはない。

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