なぜ今なのか。誰のためなのか。
大義が見当たらないばかりか、全く意味が分からない。
 日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事と副代表の横山英幸大阪市長が16日、それぞれ府議会と市議会の議長に辞職を申し出た。
 2月に見込まれる衆院選に合わせた府知事と市長のダブル選挙で、大阪都構想への再挑戦の是非を問うという。吉村氏は前日の会見で「都構想に挑戦することが、大阪の未来、成長のために必要と判断した」と述べた。
 大阪都構想は、大阪市を廃止して特別区に再編するもので維新の看板政策だ。
 ただ過去2度の住民投票ではいずれも否決されている。3度目の住民投票実施へ信任を得たいのだろうが、それであれば来春の統一地方選で信を問えばいいのではないか。
 唐突な出直し選には党内からも異論が噴出している。維新・大阪市議団は「大義が見えない」として反対を決議した。
 都構想を議論する「法定協議会」の設置には議会の賛成が必要だ。身内も説得できていない状況で、前に進めることができるのか。
 独自候補を検討していた共産は知事選、市長選とも擁立を見送った。
自民、立憲民主なども擁立しない方向で、無投票となる可能性もある。
 たとえ選挙になったとしても議論も深まらないままでは、民意を得たことになるのか。
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 昨秋の自民と維新の連立政権合意書では「副首都構想」の法制化が盛り込まれた。
 維新が公表する副首都構想の具体化法案の骨子案では、都構想の実現が副首都になる要件となっており、今回の出直し選ではそうした背景を踏まえ改めて民意をはかるという。
 だが本来、首都機能を分散する副首都構想とは別の話だ。
 両者がどう関連しているのか。副首都になれば地域にどんなメリットがあるのか。民意を問うというならば、その意義や内容を十分説明した後にすべきだろう。
 維新は藤田文武共同代表が公設秘書が代表を務める会社に業務を発注していた問題や、所属地方議員の「国保逃れ」が問題となっている。
 そうした中、衆院選に乗じて出直し選まで行うとなれば「不祥事隠し」の批判は免れない。 
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 2014年の出直し大阪市長選では主要政党が擁立を見送る中、橋下徹氏が再選した。一方、投票率は過去最低に。
大量の無効票も出て「圧勝して都構想を進める」との主張の正当性には疑問符が付いた。
 今回も現職が再選すれば任期は選挙前と変わらない。再び統一選が行われ、税金の無駄遣いとなる。
 高市早苗首相は衆院解散について連立の枠組みが変わったことに対し国民に信を問いたいという。その連立パートナーが地方自治をもてあそぶような選挙を行うことをどう見るのか。首相も語るべきだ。
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