名護市長選がきょう告示される。
 現職で3期目を目指す渡具知武豊氏(64)=自民、公明、国民、維新推薦=と、新人で元市議の翁長久美子氏(69)=立民、共産、社民、社大推薦=の事実上の一騎打ちとなる見通しだ。

 名護市長選は約30年前から辺野古の新基地建設を容認する陣営と、反対する陣営が対決する構図が続いてきた。
 しかし、渡具知氏が是非を語らない戦術で初当選して以降、賛否が明確な争点とならない選挙となっている。
 今回も渡具知氏は「建設事業が進む中で、私の発言によって工事に影響することはない」とし、賛否を示していない。
 翁長氏は「明確な反対」を掲げ、当選後は玉城デニー知事と上京し、高市早苗首相へ基地建設中止を直訴するという。
 新基地建設を巡る国と県の法廷闘争は終結。国は「代執行」を強行し、新基地建設は昨年、埋め立ての大半を占める大浦湾側での土砂投入が始まった。
 一方、広大な軟弱地盤の改良工事は着手から1年たっても約5%しか進んでいないなど先行きが見通せない状況だ。
 反対しても建設が進むという諦めが広がる一方で、工事の長期化は市民生活や環境へも影響を及ぼしている。
 賛否の表明にとどまらず、目の前の市民の不安や将来の負担をどう解消するのかも問われている。
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 今回、両氏が最大の争点に掲げるのは物価高対策だ。長引く物価高は市民生活に影を落としている。加えてジャングリアの開業に伴う家賃高騰が追い打ちをかける。

 渡具知氏は、子ども1人につき2万円を給付する国の支援策を速やかに実施するほか、過去最高額の商品券を配るという。
 翁長氏は国の支援策に5千円を足して支給するほか、水道基本料金の免除に優先的に取り組むとした。
 応急的な施策に加え、低迷する市民所得の向上も必要だ。地域活性化や雇用創出も求められる。
 政策の実現には財源の裏付けが必要となる。
 渡具知氏は2026年度末に期限を迎える米軍再編交付金の継続で子ども医療費、学校給食費、保育料の無償化を続けるという。
 翁長氏は国が予定する給食費無償化に加え、県の補助や一般財源からの支出で、交付金に頼らずとも三つの無償化は継続できると主張している。
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 新基地建設という超大型国策プロジェクトを巡って揺れてきた名護市長選。
 しかし、政治の流動化により従来の政府・与党対「オール沖縄」の対立構図にも変化の兆しが見える。
 自民は維新と連立を組み、公明は立民と新党を結成した。「政界再編」の流れの中で来月には衆院選も見込まれている。
 そうした渦中の市長選である。
持続的な地域の発展に指導力を発揮するリーダーが求められている。
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