「物価高対策が最優先」と言い続けてきた高市早苗首相は、解散が「なぜ今なのか」という有権者の疑問に、どう答えたか。

社説

 高市首相は19日夕、官邸で記者会見し、通常国会冒頭の23日に衆院を解散すると正式に表明、「1月27日公示、2月8日投開票」の選挙日程を明らかにした。

 通常国会の冒頭解散は60年ぶり。1月に召集されるようになった1992年以降では初めてである。
 この時期に選挙が行われれば、年度内に予算を通すことはほとんど不可能だ。
 高市首相は就任後初の所信表明演説で「この内閣が最優先で取り組むことは物価高への対応です」と語っていた。
 ならば国会で議論を尽くし、予算を年度内に成立させ、その上で国民に信を問うのが筋ではないか。
 この時期、地方自治体は予算編成に追われる。豪雪地帯にとって選挙は過酷を極める。大学受験の時期とも重なる。
 通常国会の冒頭解散を避けるようになったのは、こうした背景があるからだ。 解散の翌日から投開票まで戦後最短の16日しかないため、準備作業が間に合うか、懸念する声も上がっている。
 高市氏は、前回の公約には書かれていなかった重要政策の大転換が行われていること、政権の枠組みが変わったことを解散の理由に挙げた。
 だが、それはなぜ今なのかという疑問に答えたことにはならない。

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 高市氏は、立憲民主党と公明党が新党「中道改革連合」を結成したことを強く意識し、こう語った。
 「国民不在の永田町の論理に終止符を打たねばならない」「私が首相でいいのか、国民に決めてもらう」
 自信に満ちた断定的な口調が高市人気を支えているのは確かだ。なのに国会論戦を避けるのは、支持率が高いうちに一気に選挙に打って出るのが得策だという考えがあるからだろう。
 国会での論戦になれば、日中関係の悪化や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の内部文書問題などが取り上げられるのは確実である。
 自分たちの都合のいい時に衆院を解散し、選挙に勝利することによって、政権基盤を固める。その手法の究極の形が今回の解散総選挙である。
 解散権に制約を課す仕組みを早急に検討すべきだ。
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 政権の対抗軸となる中道改革連合は同じ日、「生活者ファースト」を掲げた綱領を発表した。
 「共生と包摂の政治へという中道の考え方を盛り込んだ」と立民の安住淳幹事長は指摘する。
 安全保障関連法に関し「存立危機事態での自国防衛のための自衛権行使は合憲」とするほか、地元合意などを条件として原発再稼働を容認した。
 準備期間がなく大急ぎで仕上げた政策だけに、有権者に浸透させるのは容易でない。現実路線への傾斜に対し立民支持層がどう反応するかも未知数だ。
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