かっこよく言うと「市井の人」。ひどい言い方だと「貧乏人」。
アキ・カウリスマキ監督の映画の登場人物は、そういう人たちであふれている。でも彼らは、一瞬もためらうことなく、困っている誰かを助けるために自分の食べ物を差し出し、明日の生活費を投げ出し、保険料や税金の支払いのことも忘れ、目の前で困っている人を助けながら、笑顔で生きている。
 警察に追われる不法移民の少年を、まるでそれが当たり前のように、人間の本能であるかのように自宅に招き入れる主人公マルセルと、それを察して助ける近所の人たち。
 監督が、人を見捨てる社会への怒りをエネルギーに作ったと思われる映画は、信じられないくらい優しくて愛に満ちていて、あぁ私もそうありたいと思わせてくれる。でもそうでない瞬間が多く、反省ばかりしているのが現実です。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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