名護市長選で渡具知武豊氏が3選を果たした。
 政府・与党が支援する現職の渡具知氏と、「オール沖縄」勢力が推す新人の翁長久美子氏の事実上の一騎打ち。
自民・公明を軸にした組織選挙と、2期8年の実績が評価されて大差の勝利となった。
 渡具知氏は「米軍再編交付金」による保育料や給食費、子どもの医療費の三つの無償化や、「防衛施設周辺補助事業」を充て実現した新たなごみ処理施設などの実績を前面にアピールした。
 1期目以降、2024年度までの7年間で渡具知市政に交付された再編交付金は約119億2千万円に上る。渡具知氏は「市として使える予算はどんどん使う。それが市長の役割だ」と強調。公約の9割を実現してきたとする。
 物価高が長引き市民生活を圧迫している。そうした中で、県内唯一の「三つの無償化」政策は子育て世帯への大きな支援となっている。
 昨年稼働した新ごみ処理施設では、ごみの分別が大幅に簡素化された。こうした生活実感の伴う施策が支持を得たのだろう。
 まちづくりの目玉として3期目には、名護漁港周辺に計画する総合交通ターミナルの整備と、それと連動する形で空洞化が進む中心市街地の再開発を掲げている。
 有権者は足元の課題を重視し「市政の継続」を選択した。

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 辺野古への新基地建設が浮上して以降8度目の市長選だ。
 この間、新基地建設を巡る国と県の法廷闘争は終結。国は「代執行」を強行し昨年は埋め立ての大半を占める大浦湾側での土砂投入が始まった。
 再編交付金は米軍再編への協力に応じた究極の「アメとムチ」政策だ。2026年度末で期限が切れるなど安定性にも課題がある。「補償型政治」は国への依存度を高め、自治をゆがめる危険性があることも忘れてはならない。
 市長選に合わせ本紙などが実施した世論調査では米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対が46%で賛成の28%を上回った。
 渡具知氏は賛否を言わない戦略をとっており、今回も新基地建設は争点にならなかった。
 ただ、渡具知氏は市民の半数近くが反対していることの意味を重く受け止めるべきだ。住民本位の政策の実行が求められている。
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 翁長氏は辺野古反対の立場を明確にし、玉城デニー知事と共に高市早苗首相に直訴するとしたものの、工事中止への具体策を示せず反対の民意に十分に応えることができなかった。
 オール沖縄は市長選では連敗が続いている。

 投票率はコロナ禍の影響で低かった前回をさらに下回る過去最低の60・75%だった。
 今年「選挙イヤー」の県内ではさらに豊見城や那覇で市長選が予定され、知事選も控える。「辺野古反対」の民意に応える具体策が問われている。
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