[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1376)
 膵(すい)がんは「最も治りにくいがん」といわれています。膵臓(すいぞう)は胃の裏側にある臓器で、症状が出にくいため「沈黙の臓器」と呼ばれています。
そのため診断が遅れやすく、見つかった時にはすでに手術できないほど進行していることが多いのです。
 膵がんから命を守るために必要なのは「症状が出る前に見つけること」です。症状がないのにどうやって見つけるのか疑問に思うかもしれませんが、膵がんになりやすい人(膵がん高危険群)にMRI検査や超音波内視鏡を定期的に行うことで早期発見が可能になると分かっています。この“高危険群”とは、腹部超音波検査で見つかる「膵嚢胞(すいのうほう)」や「膵管拡張」です。
 膵がんは現在、胃がんや大腸がんとは異なり、国の“がん検診”として制度化されていません。しかし健康診断や人間ドックで腹部超音波検査が行われることは多く、ここで膵嚢胞や膵管拡張が見つかった場合には、症状がなくても二次検診として専門医を受診することが大切です。将来膵がん検診が制度化されれば、他のがん検診と同様に受診勧奨が届き、陽性であれば専門施設への紹介が可能になります。現時点ではその仕組みがないため、自ら検査を受ける意識が大切です。特に糖尿病や膵がんの家族歴がある方はリスクが高く、積極的に検査を受けることが勧められます。
 「血液や尿で膵がんを診断できないのですか?」とよく質問を受けます。健診施設で行われる血液検査や尿検査でこれが可能となれば素晴らしいことですが、現状では早期に正確に見つけることはまだ難しいです。それでも新しいバイオマーカーの研究は進んでおり、その一つであるアポリポ蛋白(たんぱく)A2アイソフォームは2024年から膵がん診療において保険診療で使用できるようになりました。
今後もこうしたバイオマーカー検査の発展が期待されています。
 膵がんは小さな段階で見つければ治せる病気です。腹部超音波検査で膵嚢胞や膵管拡張を指摘された方は、必ず二次検診を受けてください。それが膵がんから命を守る第一歩です。
(森英輝、中頭病院消化器内科=沖縄市)
「最も治りにくい」といわれる膵がん “沈黙の臓器”に症状が出...の画像はこちら >>
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