「以前と同じように買い物ができない」「値段を見て、商品を棚に戻した」 
 物価高に賃金の上昇が追い付かない中で迎えた衆院選。将来に対する漠然とした不安が社会を覆っている。

 1人当たり県民所得が全国一低い沖縄において、とりわけ厳しい状況が続いている。
 県の発表によると、生鮮食品を除く2025年の県内消費者物価指数(20年=100)は113・5で、1975年以降で最も高かった。 
 地域別の物価を表す消費者物価地域差指数を見ても、沖縄は東京や神奈川など首都圏と共に上位にある。24年調査では費目別で「食料」が全国一高いという結果だった。
 本土から遠く離れ、さらに多数の離島で構成される沖縄では、物流コストが価格に上乗せされ生活を圧迫している。
 沖縄の4選挙区の候補者たちも「輸送コストの低減」を強く訴えている。
 物価高対策では、各党とも競うように消費税減税を公約に掲げる。
 与党の自民党と日本維新の会は、飲食料品を2年限定で消費税の対象外とすることを検討とアピール。
 立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」は、今秋から恒久的に食料品ゼロと踏み込んだ。
 他の野党も消費税減税や将来の廃止を打ち出す。
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 消費税は低所得者ほど負担割合が大きくなる「逆進性」があるだけに、減税はもちろん助かる。
 大和総研の試算では、家計の負担は平均で1世帯当たり年間8万8千円ほど軽くなる。

 ただ手放しでは喜べない。失われる税収の問題と切り離せないからだ。
 食品ゼロなら年5兆円の税収減となり、年金や医療など社会保障の持続性にしわ寄せが及びかねない。
 財源について、高市早苗首相は赤字国債に頼ることはないとし、中道はファンドの創設などを挙げる。
 しかしいずれも議論は生煮えで安定財源からは程遠い。
 ふに落ちないのは、消費減税には「レジシステムの改修などに時間がかかる」と慎重姿勢だった首相の唐突ともいえる方針転換だ。「争点つぶし」とも指摘される。
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 これまで消費税の税率変更は、準備や周知の期間を考慮し、法案提出から2年以上を要してきた。今困っている人への対応として即効性はあるのだろうか。
 財政悪化への懸念から長期金利は上昇傾向にあり、円安へも波及している。
 巨額の税収減に見合う効果にも疑問の声がある。
 各党、各候補者は掲げた政策をより具体的に掘り下げて説明しなければならない。
有権者は語られない副作用についても注意を向ける必要がある。
 あやふやな政策は通らない。
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