岸田政権の下で新たな安保関連3文書が策定され歴史的な転換を遂げた日本の安全保障政策は、高市政権の下でさらに大きく変わろうとしている。
 防衛力の「抜本的強化」を図るため高市早苗首相は、所信表明演説で、3文書を2026年中に前倒しで改定することを表明した。

 防衛費増額を巡る党内議論は中断しているが、選挙後にさらなる増額に向けた議論が再開されるのは確実だ。
 日本維新の会と交わした連立合意書には、武器輸出を巡る「5類型」の撤廃が盛り込まれている。
 これまで輸出できる武器は「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の目的に限るとしてきたが、この規定を撤廃し武器輸出を拡大する。
 核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則について高市首相は、堅持するとは明言していない。
 連立を組む維新は、非核三原則見直しだけでなく、米国の核兵器を日本で運用する「核共有」の議論開始を公約に掲げている。
 総じて高市連立政権の安全保障政策は、憲法9条に根差した抑制的で受動的な政策からの大胆な転換を図る内容が目立つ。
 中道改革連合は、現実的な安保政策を打ち出す一方で、専守防衛に徹することや非核三原則を堅持する方針を示し、高市政権との違いを打ち出している。
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 対中外交をどのように進めるか。関係改善の兆しが見えない中で、またも高市首相の台湾有事に絡む発言が飛び出した。
 1月26日の民放番組で高市氏は、台湾有事が起きた場合に「台湾にいる日本人や米国人を救いに行かなければいけない」とし、さらにこう述べた。
 「共同行動を取っている米軍が攻撃を受けた時に日本が何もせずに逃げ帰ると日米同盟がつぶれる」
 真意が読み取れず、誤解を招きかねない発言だ。日米同盟をつぶしてはならないから中国と交戦せざるを得ない、ということなのか。

 そういう事態を招かないために普段からあらゆる外交努力を尽くすことが政治家の果たすべき役割ではないのか。
 中国との関係は特に、慎重な発言が求められる。
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 第2次トランプ政権で初となる国家防衛戦略(NDS)で、南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に強固な防衛体制を構築する考えが示された。
 その一方、中国が圧力を強める台湾への言及はなかった。衝突を避け、緊張緩和を図るために中国軍との対話を拡充する方針も表明した。
 習近平国家主席との対話を重視する姿勢が鮮明だ。
 状況は複雑で、先が読みにくく、不確実性が高い。
 外交・安全保障が、感情論に左右されるのは危険である。
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