昨夏の参院選に続き、衆院選でも外国人政策が争点の一つとなっている。
 現行の規制を厳格化するのか、共生に重点を置くのかが主な対立軸だ。

 高市早苗政権は先月、新たな外国人政策の基本方針「外国人の受け入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」をまとめた。
 国民と外国人が共に繁栄する社会の実現を目指すとしながらも、一部の外国人による違法行為やルールの逸脱に国民が不安や不公平感を感じているとして大幅な規制強化に踏み切った点が特徴だ。
 与党の維新はこれに同調し、外国人比率の上限設定も主張している。
 野党側では国民民主が投機目的の不動産取得規制を掲げ、参政も外国人受け入れの総量規制を訴える。
 一方、中道は多文化共生社会基本法や難民等保護法などの制定を主張。れいわも外国人の権利を規定する法律制定を掲げる。
 在留外国人は昨年6月末時点で、過去最多の約395万人となった。
 人口の約3%ほどだが、人手不足などを背景に労働者としての受け入れが拡大しており増加傾向だ。
 外国人の増加に伴い、文化や生活習慣の違いから地域で摩擦が生じているのは事実だ。外国人観光客によるオーバーツーリズムの問題もある。
 こうした課題を解決する取り組みは求められよう。各党には建設的な議論を望みたい。

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 一方で外国人は今や農業や漁業をはじめ建築、介護、飲食・サービス業など幅広い業界で重要な働き手でもある。
 県内で昨年、人口の増加率が最も高かった北大東村では、製糖工場に外国人就労者を受け入れたことも要因の一つとなった。特に人口減少にあえぐ離島にとって外国人の存在は大きい。
 政府は高度な外国人材の受け入れを進めている。2019年から受け入れが始まった在留資格「特定技能」は、一定の専門性や技能を持つ外国人を呼び込む。
 しかし近年、外国人というだけで「脅威」と見なすような排外主義的な言説が、特にSNSで横行している。
 選挙のたびに立候補者による外国人差別の言動も相次いでいる。人権が侵害される状況では働く場として日本が選ばれなくなる可能性もある。
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 今回の衆院選でも「外国人が優遇されている」「外国人による犯罪が多い」など根拠のない主張が散見される。
 物価高など生活の不満のはけ口を外国人に向けるやり方で認められない。
 事実に基づかない主張は問題解決を遠ざけるだけでなく、社会の分断を生みかねない。
 本来、政治には社会のひずみをただす役割が求められる。
外国人を受け入れる以上、共生を前提にした対策こそが必要だ。 
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