真綿が水を吸うようにとはこのことか。
 音のない世界でその身を隠すように生きてきた少年ラワンが、自らの手で人生の扉を開く瞬間に立ち会える。

 両親は世界を閉ざされた息子のために、満足な教育も受けられない祖国を捨て、難民となってイギリスの地を踏む。幾度となく命の危険と強制送還におびえながらラワンが手に入れたのは手話というコミュニケーション。初めて人とつながることのできたラワンは、周りの大人たちを巻き込みながら自分の人生を切り開いていき、両親の行動力と愛情が与えた翼は想像を超えた羽ばたきをする。
 映画の冒頭で見せたラワンの暗い表情が、ラストで一変する様に立ち会えた幸せをかみしめる。彼の後ろにいる無数のラワンたちに私たちができることは何だろう。
(スターシアターズ・榮慶子)
◇パレットで上映中
【スターシアターズ・榮慶子の映画コレ見た?】『ぼくの名前はラ...の画像はこちら >>
編集部おすすめ