おととしの衆院選と昨夏の参院選で、自民党が大敗した要因は、自民の派閥裏金事件への批判だった。
参院選後にまとめた総括では、国民が物価高に苦しむ中、ずさんな政治資金管理への批判が「不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省しなければならない」と明記。解党的出直しを誓ったはずだ。
しかし、まるで裏金事件がなかったかのように、政治改革を選挙戦で正面から語っていない。
問われているのは、企業や団体が寄付する献金の扱いだ。
自民は「禁止よりも公開」の立場を維持し透明性強化を訴える。連立政権を組む日本維新の会は、「完全廃止」の主張から、現在は、企業・団体献金の見直しに向けた法案を提出する、としている。
野党の中道改革連合は、献金の受け手規制を提唱。政治資金を監視する第三者機関の創設などを訴えている。共産党は、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止と政党助成金制度廃止を主張している。
裏金事件の真相はまだ解明されていない。旧安倍派のパーティー収入の還流が2022年に復活した経緯も依然、不透明なままだ。
「政治とカネ」に有権者が厳しい視線を注いでいることを忘れてはならない。
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高市早苗首相は就任後、関係議員を副大臣などの要職に登用した。震源地となった旧安倍派幹部の党内での復権も顕著だ。
衆院選では、裏金事件に関与した43人を公認し、比例代表での重複立候補も認めた。
前回は、裏金関係候補の一部を非公認としたほか、公認しても比例代表との重複を認めない措置を取ったが、対応を一転させた。
高市首相は昨年11月の党首討論で、癒着の温床となると指摘されている企業・団体献金の規制を促されて「そんなことよりも定数削減を」と、衆院議員の定数削減に論点をすり替えた。
この間、首相や閣僚が代表を務める自民支部が政治資金規正法の上限を超える寄付を企業から受けていたことも判明しており、政治改革への本気度が問われている。
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政策遂行の土台となるのは、政治への信頼である。
物価高などで国民の暮らしは追い詰められており、経済の再建が急務であることは確かだ。しかし、だからこそ生活感覚からかけ離れた裏金事件を不問にすることはできない。
事実解明と再発防止を図ることが重要だ。
そのためにも、利益誘導的な性格が指摘される企業献金にメスを入れる必要がある。政治資金の在り方や政治改革の議論の深化が求められている。
各政党の姿勢と政策を、投票への判断材料にしたい。

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