衆院選の争点の一つ、「選択的夫婦別姓制度」は各政党で主張の違いが鮮明である。
 自民党は、別姓に長く反対してきた高市早苗首相が提案する「旧姓の通称使用の法制化」を公約に掲げる。
自民と連立を組む日本維新の会も歩調を合わせる。参政党と日本保守党は別姓に反対の立場を示す。
 立憲民主党と公明党による中道改革連合は「選択的夫婦別姓の導入」を公約に掲げる。国民民主党、共産党、れいわ新選組、社民党も導入を訴える。
 選択的夫婦別姓は、夫婦が望む場合、結婚後もそれぞれの結婚前の姓を使うことを認める制度である。
 法務省によると、現在の日本のように夫婦同姓を法律で義務付ける国は日本だけだ。国連の女性差別撤廃委員会から選択的別姓導入を再三勧告されている。
 夫婦同姓では、結婚後の姓をどちらにするか夫婦で決めるが、厚生労働省の統計によると、2024年は女性の改姓が約94%に上り、男女平等の点から問題が大きい。
 姓を自らのアイデンティティーと考え、改姓を強いられることでアイデンティティーが喪失すると感じる人がいる。制度導入を待ち望む声は根強い。
 姓が変わることはキャリア分断にもつながりかねない。女性活躍を阻む一因だとして、経団連などは別姓の早期実現を求めている。

 個人の生き方や人権に関わる問題であり、候補者を選ぶ判断材料にしたい。
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 選択的夫婦別姓制度を巡る動きは30年前にさかのぼる。1996年2月に法制審議会(法相の諮問機関)が制度の導入を答申した。しかし保守派の抵抗などがあり、政府として法案を提出することはできなかった。
 2024年10月の衆院選で立民が躍進し、衆院法務委の議事を仕切る委員長ポストを獲得したことで、28年ぶりに25年の通常国会に選択的別姓を導入する民法改正案が提出された。活発な議論が重ねられたが、自民内の意見集約が難航して、採択に至らないまま継続審議となった。26年通常国会の冒頭解散で議案は廃案となり、議論は宙に浮いた形だ。
 衆院選は最終盤に入ったが、超短期決戦ということもあり、議論が十分深められたとは言い難い。
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 さいたま市に住む建築士の男性は24年、改姓の喪失感に苦しむ妻の姓に改姓した。選択的夫婦別姓制度の実現は遠く「もう待てない」と感じたからだ。
 別姓のため事実婚を選んだり、「ペーパー離婚」を繰り返したりする人もいる。自身の姓への愛着、夫婦のどちらかが姓を変えなければならない不平等への反発、キャリア継続-理由はさまざまだろう。

 衆院選の沖縄選挙区でも候補者によって考え方はさまざまである。主張をしっかり確認し、一票を投じたい。
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