沖縄の「選挙イヤー」に割って入った衆院選が、文字通り「嵐」のごとく過ぎ去った。政治地図が大きく変化する状況で、秋には知事選を迎える。

 沖縄1~4区で現行制度になって初めて自民党が全勝した。背景には、これまでたもとを分かってきた保守層の取り込みを進めるなど徹底してウイングを広げたことがある。
 連立政権を離れた後、立憲民主党と新党「中道」を結成した公明党に対しても県内で培ってきた関係性をアピールした。
 知事選で、自民は前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)を推す構えだ。衆院選を成功体験に日本維新の会や参政党など保守層に幅広く呼びかけ、支援態勢を築く。
 公明は中道結党後も地方選の方針を地方組織に委ねている。知事選の対応を「未定」としながら、従来通り自民と同じ候補の応援に回る道を残している。
 名護市辺野古の新基地建設反対で結集する「オール沖縄」は2014年以降、5回目の衆院選で初めて支援候補が議席を失った。劣勢の中で、玉城デニー知事(66)が3期目を目指す。
 前回は4区で、今回は2区と4区で、新基地反対の候補の分裂選挙となった。一方、2区では中道と社民の2候補の得票数を合わせれば、当選した自民候補を上回っていた。
 オール沖縄は、昨年の参院選で勝利したように全県選挙で強みを発揮してきた。
知事選までに、この4年間の2回の衆院選で深まった政党間の亀裂を、修復できるかが問われる。
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 知事選の争点の一つは、政府が推進する辺野古新基地建設だ。
 大浦湾側の軟弱地盤改良に伴う埋め立て設計変更申請で、国は23年12月に知事の権限を取り上げ、「承認」を代執行した。大浦湾側での工事は進んでいる。それから初めての知事選となる。
 玉城知事は「対策が不十分」と不承認にした。県民が選んだ知事の決定を国が上書きした形で、地方自治をないがしろにしている。
 国は完成時期を示すことができず、普天間飛行場の一日も早い返還につながるとは言い難い。
 さらに、全体の事業費の見通しさえ立たない。納税者として納得できない。
 知事選では、新基地建設の賛否にとどまらず、政府から回答を引き出す具体的な問いの設定が不可欠だ。
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 衆院選の結果に、古謝氏は「政党の再編ではなく、具体的な結果を県民が求めている」と受け止めた。
一方の玉城知事は「基地問題の解決は重要でこれからも訴え続ける」と語った。
 長引く物価高への対応やPFAS汚染の問題、折り返しを迎える沖縄振興計画の充実、離島の人口減少など、課題は山積する。
 沖縄の国会議員は減った。日米に沖縄の声を届けるリーダーが求められる。
 知事選では政争ではなく、目の前の課題を解決するとともに、沖縄の将来像を描くための議論を県民全体で深める必要がある。
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