玉城デニー知事は、2027年2月1日から宿泊税(観光目的税)を導入する予定と発表した。県内での宿泊料の2%を徴収する。

 林芳正総務相が、県と本部町、恩納村、北谷町、宮古島市、石垣市の申請に同意したことで、具体的な開始時期が決まった。
 議論開始から20年近く、コロナ禍や制度設計を巡る紆余(うよ)曲折を経て、ようやくスタートラインに立った。
 同意から1年かかるのは宿泊事業者や観光客、県民へ周知し、理解を得るためだ。県や市町村には丁寧に説明を尽くす責任がある。
 都道府県単位で初めての定率制となる。1人1泊2千円を上限に、宿泊料金に連動する。物価上昇や宿泊単価の変動に対応でき、公平性を担保しやすい。
 修学旅行やスポーツ大会出場などに伴う宿泊は免除される。3年以内の見直し規定があり、制度のはざまで新たに負担が増すケースが見つかれば、免除の対象を広げる必要がある。
 沖縄の観光客数はコロナ禍前の水準に戻り、25年に再び1千万人を突破した。旺盛な需要は地域経済を支える一方、自然環境の悪化や、交通渋滞、ごみ処理の負担など、オーバーツーリズムを引き起こしている。
 宿泊税の最大の意義は、観光の「量」から「質」への転換にある。
観光資源を持続可能な形で引き継ぐためには、安定的な財源の確保が重要だ。
 県と市町村が主体となって、地域の課題を解決し、魅力を磨く一歩となる。
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 税収は県と5市町村の合計で年間77億円を見込む。その使い道に関する議論は、これからだ。
 県は26年度に「沖縄観光振興戦略会議(仮称)」を設置する。それぞれの市町村でも話し合いが進む。
 具体的にはサンゴ礁の保全、歴史文化の継承、観光地ブランドの強化、人材育成などが挙げられている。
 これまで自治体の目は住民のいる集落に向きがちで、ホテルなどの並ぶ地域は後回しにされてきたという指摘もある。
 目的税である宿泊税は、リーディング産業の観光に特化した財源として期待が高まる。
 単なる既存事業の穴埋めではなく、「次世代への投資」を意識した使い道を探るよう求めたい。
 制度への信頼を維持するには、使途を明確に示し、広報に力を入れるなど、透明性の確保は欠かせない。
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 外国人観光客の増加などで、宿泊税導入の動きが加速している。
人手不足の中で、徴収を担う宿泊事業者の負担は全国の自治体でも課題になっている。
 県は26年度予算で、事業者のシステム改修を補助する計画だ。ただシステムに違いがあるほか、小規模施設になると手書きで管理する事業者もあるという。
 細やかな対応と研修、支援などが必要になる。
 負担を求める以上、世界に誇る観光資源の保全や、受け入れ態勢の整備で目に見える成果を出し、県民や宿泊客の満足度を高め、「納得の土台」を強固にしなければならない。
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