衆院選を受けた特別国会で高市早苗首相が再選され、第2次高市内閣が発足した。
 自民党だけで衆院定数の3分の2、日本維新の会と合わせると4分の3を占める巨大与党の誕生で、国会の風景は一変した。

 それだけではない。自民党は予算委員長や憲法審査会長などの重要ポストも奪還した。
 高市首相には少数意見にも耳を傾け、おごらず、謙虚に政権運営に当たってほしい。特に国論を二分するような政策については、丁寧な説明と熟議が求められる。
 首相は全閣僚を再任。記者会見では「重要な政策転換の本丸は責任ある積極財政」「安全保障政策の抜本強化を行う」など政権運営方針について語った。 
 政治の風景は変わった。ただ忘れてはならないのは、小選挙区で86%に当たる議席を獲得した自民も、合計得票率では49%と5割に届いていないことだ。
 野党候補が乱立する中、最多得票の1人だけが当選する小選挙区制の恩恵を受けた形である。議席占有率と得票率の開きは、民意を正確に反映しない制度の弊害ともいえる。
 民主主義の基本は、話し合いと少数意見の尊重だ。選挙で全面的な委任を得たとばかりに、「数の力」をバックに押し切れば、国民の反発を招きかねない。

 野党に求められるのは、巨大与党の言動を厳しくチェックすることである。「多数者の専制」に陥らないよう、有権者も権力監視を強める必要がある。
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 沖縄から「高市1強」政治を見た場合、期待よりも懸念の方が先に立つ。
 今回の衆院選で、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力の議員はゼロとなった。参院には2人いるものの、「沖縄の声」をどのように国会に届け、政治に反映させるのか。
 首相が取り組むとする「憲法改正」「安保政策の強化」により、沖縄の基地負担がさらに強まることが危惧される。
 そしてここへ来て、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されない可能性への言及が、米側から相次いでいる。
 基地負担の軽減と経済振興は、沖縄の二大課題である。
 当選した自民党の4氏には「県民益」を大切に、国政の場でこれら課題を前進させてもらいたい。
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 特別国会の当面の最重要課題は2026年度予算案の審議である。
 引っかかるのは、高市首相が「年度内成立も諦めていない」と口にしていることだ。
 国民生活に直結する予算の早期成立を目指すことは当然とはいえ、年度内成立を難しくする唐突な「自己都合解散」に踏み切ったのは首相自身である。

 予算案審議は例年、衆参で2カ月程度かかる。政府、与党はその時間短縮を探っているというが、「数の力」でごり押しすれば審議は形骸化する。
 これこそ「国会軽視」「多数者の専制」だ。
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